安全登山と自己責任について考える
皆さんこんにちは!山ガールになりたい女子・齋藤です!
今回は、ちょっと重たい話題ですが、ぜひお付き合いくださいませ🙇♀️
「次はどこの山に行こうかな…」と考えていた私に、気になる存在が⛰
それは…穂高連峰にある天使と悪魔の棲家「ジャンダルム」。
穂高連峰にある岩峰、山頂にある天使の標識が最近Instagramでも連日投稿されています。
早速、鷲尾さんに相談してみました💡
知らなかった…ジャンダルムの危険度
齋藤:あの…閣下、、ジャンダルムって私でも行けるかな?(´・ω・`)
鷲尾:マジで言ってる!?(´⊙ω⊙`)貴様正気か
齋藤:インスタでも毎日のように投稿を見かけるし、私と同世代の人も沢山訪れている場所みたいだから。。
鷲尾:むー…(´・ω・`) まだ早いと思う。僕も齋藤さんを安全に連れて行く自信がない。
鷲尾:槍ヶ岳は4回登ったことがある(槍沢コース・槍平コース・東鎌尾根・西鎌尾根すべて経験済み)。奥穂高岳も2回(涸沢から往復)、西穂高岳も2回(新穂高ロープウェイから往復と、焼岳へのソロ縦走)登っている。
でもこの程度のキャリアって、全然自慢できるものではないんだ。
自分ひとりでも、ジャンダルムは奥穂高岳からのピストンなら何とか行けるかなって言うくらいの自信しかない。
齋藤:そんなに難しいルートなんだ…
鷲尾:前穂高岳の北尾根や、槍ヶ岳の北鎌尾根と違って「バリエーションルート」ではないけれど、通常の登山道としての難易度は極めて高い。
甲斐駒ヶ岳の直登ルートみたいに岩にペンキマークもそこまで多くないからルートファインディングの技術もある程度必要になる。それに浮石も多くて稜線の幅が狭いから滑落事故も多いし、もし滑落したら簡単に死ぬ場所だよ。
齋藤:…(´・ω・`)←何も言えない
鷲尾:下手をしたら、数百mは落ちるからね。
齋藤:…(´・ω・`)←何も言えない
鷲尾:運よく生命はあっても、後遺症の残る怪我を負う可能性だってある。
齋藤さんを、そんな目に遭わせるのは、絶対に嫌だからね(´-ω-`)
齋藤:そんなすごい場所に、あれだけ多くの人が行っているんだ。
鷲尾:実際にSNSに投稿された方のレベルは分からないし、多くの人は体力・技術・経験を兼ね備えた立派な登山者だと思うよ。
でも確かに、SNSでジャンダルムが余りに多く登場するから、安易に登っている人が多いことを懸念していると言う、山岳ガイドさんのブログ記事もあったしね。
齋藤:確かに、自分のレベルに合わない山に気軽に登るのは「登山は自己責任」って言葉では片付けられないよね(´・ω・`)
鷲尾:そう…「自己責任」って言うけれど、いったん遭難事故が発生すると、実際にどれだけの人が、どれだけの危険を冒して、救助活動に当たるかを知って欲しいんだ。
今回は、遭難事故が起こるとどうなるか、ちょっとお話します。
遭難救助にあたる人達の苦労と使命感
鷲尾:山岳遭難とはちょっと違うけれど、木曽御嶽山の噴火があったよね。
齋藤:私たちが登った、剣ヶ峰の登山規制解除の7月1日にも、首のない石像や倒れかけた灯篭とか、噴火の爪痕は生々しかったよね。
鷲尾:噴火直後に、どのような救助・捜索活動が行われたか、ちょっとこの動画を見てみて。
齋藤:これはね…もう言葉で語るのも苦しいんだけれど、私は小川さゆりさんの著書『御嶽山噴火 生還者の証言』(山と溪谷社)を読んでいたから、実際にイメージはある程度出来ていたんだけれど、実際に映像で見るとやっぱり辛いね…
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活字を読むのが苦手な方は、是非こちらの動画をご覧になってみて下さい。
2014年9月27日の噴火以降、あの場所で何が起こっていたのか。
噴火を通して、我々は何を学ぶのか。
これは登山者だけではなく、動画を見たお一人お一人が考えさせられますし、
それぞれの感じ方、捉え方で良いと思います。
まずは何より「こんな状況だった」という事を知って頂ければ幸いです。
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鷲尾:この時は「山岳遭難」ではなく「災害」だったから、警察・消防だけでなく自衛隊も加わった大規模な救助・捜索活動になった。
職務とは言え、いつ再噴火するかわからない、有毒な硫化水素が立ち込める中で、生命の危険と隣り合わせで、行方不明者を捜していたんだ。
齋藤:普通の「山岳遭難」だと、自衛隊は来ないよね?
鷲尾:うん、通常は警察・消防によるレスキュー活動だね。
天候が良く、視界の効く場所だとヘリコプターにるレスキューが一般的なんだけど、気流の変化の激しい山間を操縦するパイロット、そして遭難場所に降下するレスキュー隊員、いかに危険な状況下で行われているかが、この動画を見るとわかる。
鷲尾:もちろん、この技術を身につけるために、レスキュー隊員は厳しい訓練を常日頃行っているんだ。
鷲尾:あと、山岳遭難の時は警察・消防だけでなく、民間人も協力することが多いんだ。
齋藤:山小屋のスタッフさんだよね。
鷲尾:そう。さらに地元の山岳遭難防止対策協議会(遭対協)のメンバーが加わることもある。
鷲尾:いざ遭難事故が発生すると、これだけ多くの人が、救助のために、時には生命の危険を冒して、身を捧げているんだよ。
仮に自分が警察官や自衛官や山小屋のスタッフだったとして、ここまでの「使命感」を抱いて、救助活動にあたることができるだろうか、自問自答してしまうよね(´・ω・`)
齋藤:本当に、頭の下がる思いでいっぱいだね…。
自分達に出来る最大限の安全登山を目指す
鷲尾:もちろん我々だって、いつこうした方々のお世話になるかは分からないよ。でも、こうした苦労を知ってしまうと「無謀な登山」で事故を起こして、こうした使命感に満ちた方々に危険を冒させることだけは、絶対に避けたいよね。
齋藤:うん。少しずつステップアップして、焦らず着実に、ジャンダルムを目指そう(´・ω・`)
じゃあ、次はどこに行こうか?
鷲尾:まずは、穂高連峰の山々(奥穂高岳・前穂高岳・北穂高岳・西穂高岳)のどれかを、往復ルートでも良いから経験しよう。
ただしそこでも、ヘルメットはもちろんかぶるし、鎖場などの危険箇所では万が一の滑落に備えて、ハーネスを履いてセルフビレイをとってもらうよ!
齋藤:鎖にカラビナでビレイをとると、支点でのカラビナの架け替えとかに時間がかかって他の登山者さんに迷惑がかかりそう…(´・ω・`)←気にしい
鷲尾:他人の目は気にしない!その人の考える「安全」がどんなものかは分からないんだから、我々の考える「安全」を粛々と実践すればいいんだよ。
齋藤:そうだね(´・ω・`)自分達は、自分達が考える「安全」を極めていこう!
鷲尾:うん、その意気込みで行こうね(*´ー`*)
☆★To Be Continued★☆